今や希少性の高い ハイエース特別仕様車「ダークプライムS」
はじめに
ハイエース200系が誕生してから早くも20年。そんな節目の年に登場した特別仕様車が「ダークプライムS」です。普段のハイエースとはひと味違うこのモデルは、ただの働くクルマを超えて、スポーティでカッコいい”趣味を楽しむ車”としても扱われます。
ベースは人気のスーパーGLですが、エンジンのパワーアップやインテリア・エクステリアの専用装備で、より特別な一台に仕上がっています。
ただ、人気が非常に高いため、現在は注文することすら難しい状況が続いています。そうした希少性もあって、このダークプライムSがいっそう注目されているのです。
エンジン性能の向上
ダークプライムSの最大の特徴は、なんといってもエンジン性能の大幅向上です。従来のハイエースと比較して、2.8L 1GD-FTVディーゼルエンジンが高出力化され、パワー・トルクともに大きく向上しています。
1,200回転という低回転域から最大トルクを発生する特性(トヨタ公式サイトより)、発進時の力強さや登坂性能が格段にアップ。従来のハイエースユーザーなら、その違いをはっきりと体感できるはずです。特に重い荷物を積んだ状態や高速道路での合流時において、その恩恵を実感できるでしょう。
専用ショックアブソーバーで走行性改善
乗り心地の改善には個人差がありますが、従来のハイエースが抱えていた課題を大きく改善しているのがこの専用ショックアブソーバーです。ハイエースバンは本来、大量の荷物を運ぶ商用車として設計されているため、空車状態では「突き上げ感」や「フワフワとした硬い乗り心地」が課題でした。
これは、重い荷物に耐えられるよう硬めに設定されたサスペンションと、バン特有のヘルパーリーフスプリングが原因です。ダークプライムSでは専用ショックアブソーバー(フロント・リヤ)の採用により、より心地よくしなやかな乗り味を実現。特に空車状態での乗り心地が大幅に改善され、長距離移動時の疲労軽減効果も期待できます。
存在感を高めるエクステリア装備
外観では専用装備により、従来のハイエースとは明らかに違う存在感を演出しています。LEDヘッドランプ(クリアスモーク加飾)とメッキフロントグリル(プラチナサテンメッキ)の組み合わせが、よりスポーティーな印象を与えます。
特に注目すべきは、デュアルパワースライドドア(挟み込み防止機能付)の標準装備です。これは両側電動スライドドア(イージークローザー機能付)で、従来オプション設定だったものが標準装備となったのは大きなポイントです。乗用車利用での利便性向上を目指している事がわかります。
リヤ部分にはメッキバックドアガーニッシュ(プラチナサテンメッキ)と専用メッキエンブレムが配置され、統一感のあるデザインを実現。なお、ホイールについては特に変更はなく、従来のスーパーGLと同様の設定となっています。
安全装備の面では、従来のスーパーGLから助手席SRSエアバッグ+プリテンショナー&フォースリミッター機構付シートベルトが新たに追加され、安全性が大幅に向上しています。
高級感のあるインテリア装備
内装は、通常のスーパーGLやダークプライム2と比較して、さらに高級感が増した仕上がりとなっています。ダークな色調で統一された室内に、随所にカーボン調加飾が施されているのが特徴です。
具体的には、ステアリングホイール(本革巻き+カーボン調加飾)、インストルメントパネルアッパー部(カーボン調加飾)、シフトノブ(本革+カーボン調加飾)、パワーウインドウスイッチベース(カーボン調加飾)など、運転席周りの主要部分にカーボン調装飾が配されています。
シートには専用のトリコット+合成皮革&ダブルステッチ 専用刺繍ロゴ(フロントシートのみ)が採用され、従来モデルとは明確に差別化されています。また、スライドドアスカッフプレート(車名ロゴ&イルミネーション付)により、乗降時にも特別仕様車であることを実感できる演出が施されています。
その他、ルーフ&ピラー(ブラック)化により、室内全体がよりスポーティーで統一感のある空間に仕上がっています。
ダークプライム2との主な違い
従来のダークプライム2と比較したダークプライムSの主な違いは以下の通りです。
✔ エンジン性能の大幅向上 – 1GD-FTVディーゼルエンジンの高出力化により、パワー・トルクともに大幅アップ
✔ 専用ショックアブソーバーの採用 – フロント・リヤともに専用品を採用し、乗り心地を大幅改善
✔ 助手席SRSエアバッグの追加 – 安全装備として新たに助手席エアバッグ+プリテンショナー&フォースリミッター機構付シートベルトを標準装備
これらの改良により、ダークプライムSは単なる見た目の特別仕様車から、走行性能と安全性を兼ね備えた本格的なパフォーマンス仕様へと進化しています。
グレード・価格設定
ダークプライムSはディーゼルエンジンのみの販売となっており、2WDと4WDの2つの駆動方式から選択可能です。価格は2WD 420万円、4WD 450万円となっています。
ボディカラーは標準色のブラックマイカに加え、オプションでホワイトパールクリスタルシャインも選択可能。内装色はダークグレー(ブラック基調)で統一されており、特別仕様車にふさわしい上質な仕上がりとなっています。
この価格帯で購入できる他の乗用車と比較すると、例えば日産エルグラン、レクサスNXなどがあります。グレードによる違いが大きく一概に比較しづらいですが、ハイエースの450万円という価格設定は決して安くはありません。一方、積載能力と居住性を兼ね備えた車両と考えれば、相応の価値があると言えます。
まとめ
正直なところ、ハイエースで450万円という価格は、長年のハイエースユーザーからすると「衝撃的」な金額です。ただ、現在の受注停止が続く中、需要と供給のバランスから、プレミア化されているのも事実。一概に「高い」とは言い切れないのが現状かもしれません。
(もちろんメーカー希望価格の話であり、意図的なつり上げや転売価格では買わないです。)
エンジンパワーアップ、専用ショックアブソーバーによる乗り心地改善、そして内外装の充実した専用装備を考えれば、従来のハイエースとは違った味わいがあると言えます。商用車としての実用性を保ちながら、ここまで移動空間を提供するモデルはなかなか見ません。
ビジネス用途から趣味のアウトドア、そして家族での長距離移動まで、あらゆるシーンで活躍できるオールラウンダー。ハイエース200系誕生20周年にふさわしい、まさに「特別」な一台と言えるのではないでしょうか。